Vol.5
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2016年、ある企業の事業所で歯周病予防についての講演を行なった内田沙織梨さん。この活動をきっかけに他の事業所からも声がかかり、なんと1年かけて5つの事業所で講演することになりました!大きな活動になりましたが、最初のきっかけは親戚の集まりだったといいます。
お正月に親戚で集まったとき、たまたま仕事の話になったんです。「何しているの?」「忙しい?」っていう流れで、私はGoodbye Perioプロジェクトのことを話しました。ちょうど中部地方初の企業グッペリがテレビで取り上げられていたので、その動画を見せて。「私もこういうことやってみたいんだよね~」って何気ない感じで言ったんですよ。そうしたら、興味を持ってくれたのが叔父さん。「衛生士さんって歯石を取っているだけじゃないんだね。面白そうだから、うちでもできないか聞いてみるよ」と言って、本当に話をつけて来てくれたんです。ちょっとした会話だったのに、とんとん拍子で話が進んでビックリでした。
実際に活動してみると、学ぶことがたくさんありました。一番は、臨床現場とのギャップ。私が普段関わる患者さんって口腔内に何か悩みを抱えて来院される方が多いので、ある程度歯への意識があるんですよ。それに慣れていたけど、普通の人って全然違うんですよね。たとえば「日本人の歯周病罹患率ってどのくらいだと思いますか?」と聞いたとき。2割、5割、8割の3択クイズにしたら、ほとんどの方が5割に手を挙げたんです。もう衝撃でした。私が想像していたよりずっと知らないことが多いんだ! って。医院の外に出たからこその発見だったと思います。
それから、ありがたいことに他の事業所にも呼んでいただけるようになりました。私自身またやりたいと思っていたので、すごくうれしかった。1回目の反省や発見をふまえて、“全身疾患との関係”や“縁下に入れる必要性”など、大切なのに知られていないことに重点を置いて講演をしていきました。
おかげでどの事業所でもいい反応をいただけたと思います。「歯周病治療をしているのに今までフロスのことを知らなかった。教えてくれてありがとう」とか、「早産の話は全女性に聞かせてあげたい」とか。「すごくいい講演なのでこれからも活動がんばってください!」とわざわざ言いに来てくれた方もいらっしゃいましたね。このときはうれしすぎて言葉も出なくて……。不安も大きかったけど、頑張ったかいがあったなぁと思いました。
全部の講演を終えて思うのは、患者さんとの時間をもっと大切にしていこうということ。今回たくさんの一般の方とお会いして、歯周病罹患率すら知られていない状況ってすごくまずいなって思ったんですよ。なので、普段の仕事でもクリーニングやPMTCといった技術的な部分だけじゃなく、“正しい知識を伝える”ことにも力を入れたい。並行してグッペリ活動もがんばって、歯周病に関する知識を持った人をもっともっと増やしていきたいと思います。